その要介護認定、ホントに必要!?
今回は少し難病からはズレますが、保険制度のお話です。
病棟での退院支援などでは、よく「この患者さん、要介護認定を勧めておこうか」という話が出ます。
たしかに介護保険を申請すれば、様々な介護サービスが受けやすくなります。
ただ、一部ではありますが「介護保険を申請したことで不便になる」というケースがあります。
それは「医療費助成を受けられる対象」かつ「介護サービスは必要でないけど、医療的なサポートのために訪問看護が必要」というケースです。
本当なら医療費助成が受けられたのに……
訪問看護とは、看護師が利用者の自宅等に訪問し、看護を提供する仕組みです。
訪問看護を利用する場合、医療保健もしくは介護保険の適応となります。
この際、「要介護認定を受けている場合は介護保険を優先」という決まりがあります (ただし、利用者の疾患や状態により例外はあります)。
ところで、日本には介護保険とは別に、身体障害者手帳を持つ方を対象とした医療費助成の制度があります。
例えば、ペースメーカーを植込んだ方、聴覚や視覚障害がある方などが身体障害者手帳の交付対象になります。
身体障害者手帳を持つ方の中でも、介護サービスを必要としない方は存在します。しかし、そんな方でも (市町村にもよりますが) 認知機能の低下や身体障害の程度によっては要介護認定を受けると通ってしまう場合があります。
その方に医療的なサポート (例えば心不全管理など) が必要となり、訪問看護を利用する場合、介護保険で利用することになります。
つまり、「訪問看護を利用する際の医療費助成が受けられない」ということになります。
適切なタイミングで要介護認定を
「とりあえず要介護認定を受けておく」という手が上手くいくことも少なくありません。ちなみに、指定難病の場合は、たとえ介護保険での訪問看護でも助成を受けられますので、要介護認定を受けておくのは手かもしれません。
しかし、身体障害者手帳を持つ方のように、中には要介護認定を受けたことで、受けられるはずだった医療費助成を受けられなくなるパターンもあることを知っていただきたいです。
また、介護保険の適応は「申請日」からですので、書類を提出した日にちまで遡って適応されます。いますぐ介護サービスが必要でないなら、必要になってきた時に申請するというのでも間に合うことが多いと思います。
ぜひ、要介護認定を勧める前に「今、本当に必要なのか」を考えていただけるとと思います。