パーキンソン病を匂いで診断!?病気の匂いに気付いた女性の話
パーキンソン病の匂いに気付いた女性
数年前、BBC Scotland newsでこんなニュースが取り上げられました。
「The woman who can smell Parkinson's disease (パーキンソン病を嗅ぎ分けられる女性)」と題されたこのニュースで紹介されたのは、Perth (Scotlandの都市) に住むJoy Milneという女性です。
彼女の夫は、45歳の時にパーキンソン病と診断されました。しかし、彼女は診断される6年前から”ある異変”に気が付いていたそうです。
She says: "His smell changed and it seemed difficult to describe. It wasn't all of a sudden. It was very subtle - a musky smell.
彼女は、夫からなんとも言い難い、ムスクのような匂いがするようになったと話しています。
その後、夫はパーキンソン病と診断されましたが、それが「パーキンソン病の匂い」だと気づいたのはParkinson's UK (日本でいう患者会のような団体) のチャリティーに参加した際でした。
そこで会った、他のパーキンソン病患者からも同じ匂いがしたのです。
驚きの的中率!
パーキンソン病の匂いを嗅ぎ分けるその女性に興味を持ったEdinburgh Universityの研究者は、彼女の能力をテストすることにしました。
6名の健常者と、6名のパーキンソン病患者の使用したTシャツを用意し、彼女に匂いで誰がパーキンソン病患者か言い当てるテストをしました。
この際、彼女にはいくつパーキンソン病患者のTシャツが入っているか伝えられていません。
その結果、彼女は7つのTシャツをパーキンソン病患者のものだと言いました。
そのうち6名は正解、1名は健常者のものでした。つまり、正答率は11/12という結果でした。
しかし、その8か月後、彼女が「パーキンソン病患者」と言ったTシャツの持ち主が、パーキンソン病と診断されたのです。
結果として、彼女は全問正解しており、診断される前のパーキンソン病患者さえ言い当てたのでした。
現在「パーキンソン病の匂いの正体」を突き止めるため、さらなる研究が行われているようです。
彼女は発症前のパーキンソン病患者の匂いさえも言い当てました。
実は、パーキンソン病の診断は「この所見 (症状やデータ) があるから診断!」というものはありません。
一般的には、特徴的な運動症状 (パーキンソニズム) があり、原因となる脳疾患や薬剤がない場合に、抗パーキンソン病薬が効けば診断、という流れになります。
もしその匂いの正体がわかり、計測できるのであれば、発症前のパーキンソン病患者であっても簡単に診断することができるかもしれません。
今後の研究結果に期待ですね。